●ものをいう東北人になっぺ
薄井雅子
●それはタカ派自民党議員から始まった 自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟
佐藤 博文
●自衛隊イラク派兵違憲判決歴史的意義とこれからの課題
佐藤 博文
●イラク戦を生々しく描く
名古屋高裁判決文(1)
名古屋高裁判決文(2)
名古屋高裁判決文(最終回)
●今からでも読む憲法
第1回 前文
第2回 第1章 天皇
第3回 第3章25条
人間に値する生活を(1)
三成 一郎
第4回 第3章25条
人間に値する生活を(2)
三成 一郎
2011年7月27日、日本の国会(衆議院厚生労働委員会)で東京大学教授の児玉龍彦さんが「放射線の健康への影響」について説明しました。
児玉教授は、福島第一原発事故で放出された放射線の影響について、日本政府や東京電力がその危険性をまともに見ず、有効な手だてをうってこなかったことに
深い怒りをあらわしています。
この発言は、今度の原発事故はどういうものか、住民、とくに子どもたちの健康を守るために政府や国会は何をしなければならないかを深く考えさ
せてくれます。在米日本人のみなさんにもこの内容を知っていただきたいと考え、当サイトの責任で少々編集してお届けします。
録画をご覧になりたい方は、以下をクリックして「説明質疑者等」のなかから選んでください。この国会ライブラリには、当日の会議での他の
説明者や各党委員の発言も収録されています。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.php?deli_id=41163&media_type=wb
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児玉龍彦さんの発言から
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子どもを守るために
東京大学には27か所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っています。私自身は内科の医者で、東大病院の放射線施設の除染など
に数十年かかわっております。
3月15日に大変に驚愕(きょうがく)いたしました。午前9時ごろ(茨城県)東海村で5マイクロシーベルト(以下μCv/h)という線量を経験しまして、
文部科学省に直ちに通報しました。その後東京で0・5μCv/hを超える線量が検出されました。これは下がりましたが、3月21日に東京で雨が降り、0・2μCv/h の
線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。
その時に、枝野官房長官が「さしあたり健康に問題はない」ということをおっしゃいましたが、私はその時にこれは大変なことになると思いました。
原爆20数個の放射線が
なぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射線物質が少しあるものを処理することを前提にしています。これは、個々の濃度
を問題にしています。
ところが今回の福島原発の事故というのは、100㎞圏で5μCv/h 、200㎞圏で0・5μCv/h 、さらにそれを超えて、神奈川の足柄から静岡のお茶にまで及んでいることは皆さんがご存じのとおりであります。
われわれが放射線障害をみる時には、総量をみます。しかし、東京電力と政府は、今回の福島原発(事故で放出された放射線)の総量がどれくらいであるか、はっきりした報告はまったくしておりません。
そこで私どもが、いろいろな知識をもとに計算してみますと、熱量からの計算では広島原爆の29・6個分に相当するものが漏出し、ウラン換算では20個分のものが漏出していると換算されます。
さらに恐るべきことには、1年たって、原爆による放射線の残存量が千分の1程度に低下するのに対し、原発からの放射線汚染物は10分の一程度にしかならないということです。
つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様に原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということを前提にしなければなりません。
そこで、どういうようなことが起こるか。それが今回の稲わらの問題です。
(牛の飼料の稲わら)から、たとえば、岩手の藤沢町では、1㌔グラムあたり5万7千ベクレル、宮城県の大崎市で1万7千ベクレル、福島県南相馬市で10万6千ベクレル、福島県白河市で9万7千ベクレル、岩手6万4千ベクレルの放射性物質が検出されたということです。この数字というのは決して同心円上にはいかない。どこでどういうふうに落ちているかは、その時の天候、その物質が水を吸い上げたかどうかなどが関係してきます。
私は、南相馬市に毎週行っており、東大のアイソトープセンターとして、現在まで7回の除染をやっております。南相馬に最初に行った時には1台の線量計しかありませんでした。農水省が通達を出したという3月19日には、食料も水もガソリンも尽きようとしており、南相馬市長が痛切な訴えをウェブに流したのは広く知られているところであります。
そのような事態の中で、通達1枚出してもだれ見ることができないし、だれも知ることができません。稲わらがそのような危険な状態にあるということは、まったく農家には認識されていなかったのです。
このような事態のなかで、何をしなければいけないかというと、まず、汚染地で徹底した測定ができるように、それを保証しなくてはいけません。われわれが5月下旬に南相馬市に行った時は、先ほど申し上げたように線量計が1台しかなかった。しかし、実際には米軍から20台の個人線量計がきていましたが、解説書が英文でわからなかったのです。それをわれわれが教えてあげて、実際に使いだしたというのが現地の状況です。
食品検査といわれますが、最新の半導体を使った測定器が開発されているのに、なぜ政府はそれを全面的に応用してやろうとお金を使わないのか。3カ月たってそのようなことがまったく行われていないことに、私は満身の怒りを表明します。
時間をかけて追跡を
私の専門は、がんの治療に放射線(アイソトープ)を使うという研究です。すなわち人間の体の中に放射線を打ち込むという仕事ですから、内部被ばく問題について必死に研究しております。
内部被ばくの一番大きな問題はがんです。放射線によってDNAが切断されるのでがんが起きるのです。DNAというのは二重らせん構造ですから、二重らせんの時は安定的です。これが、細胞分裂をする時には二重らせんが1本になって、2倍になり4本になります。この過程で放射線をあびるとものすごく危険です。
そのために、妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖が盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険をもちます。さらに大人においても増殖が盛んな細胞、たとえば髪の毛や腸管上皮など、増殖分裂が盛んな細胞に放射性物質を与えると危険です。これが放射線障害のイロハです。
私どもが具体的に知っている事例を上げます。
実際には一つの遺伝子の変異ではがんは起こりません。最初に放射線があたった後に、もう1個の別の要因でがんの変異が起こるということです。まずもっとも有名な放射線はアルファ線です。(アルファ線を出す)プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしました。アルファ線は肝臓に障害を起こします。
内部被ばくというのは、一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものはまったく意味がありません。
ヨウ素131は甲状腺、「トロトラスト」は肝臓、そしてセシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点をみなければ、全身をスキャンしても意味がないのです。
「トロトラスト」は造影剤でして、1890年からドイツで用いられ1930年ごろからは日本でも用いられましたが、その後20~30年たつと肝臓がんが25%から30%起こるということがわかってまいりました。なぜ20年もかかるかというと、第一段階ではP53という遺伝子が傷つけられ、それに次ぐ第二第三の変異が起こるのが20~30年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが証明されています。
今は、人間の遺伝子配列はわかっており、1人の人間と別の人間はだいたい300万カ所違います。ですから人間がみな同じだとしてやるような処理は意味がありません。 放射線の内部障害をみる時も、どの遺伝子がやられて、どういう変化が起こっているかということをみるのが原則的な考え方として大事です。
ヨウ素131の場合、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期がもっとも特徴的であり、小児に起こります。1991年、ウクライナの学者が「甲状腺がんが多発している」というときに、日本やアメリカの研究者は『ネイチャー』誌に「これは因果関係が分からない」ということを投稿しております。なぜそう言ったかというと、1986年(チェルノブイリ原発事故発生年)以前のデータがないから、統計学的に有意だといえないということです。しかし、統計学的に有意だ(偶然とは考えにくい)ということがわかったのは、20年後です。ですから、疫学的証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまでだいたい証明できないのです。
力を結集して恒久的除染を
今われわれに求められているのは、「子どもを守る」という観点からの方法です。チェルノブイリ原発事故の高濃度汚染地区で、尿から6ベクレルという微量の放射性物質が検出されています。かなりの率で増殖性の膀胱炎(前がん状態)が発生しているという報告があります。そこで、がくぜんといたしましたのは、福島の母親7人の母乳から2~13ベクレルが検出されていることです。
(放射性物質の飛散については)、20㌔圏、30㌔圏というわけかたは全然意味がない。その幼稚園ごとに細かく測っていかないとだめです。南相馬市の中心地区は海側で、その地域の学校の7割は比較的線量は低いのです。ところが、そこの子どもたちは、30㌔以遠の飯館村(高い線量が検出された)に近い学校に強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。
いま、一番の障害になっているのは、強制避難(地域)でないと補償しないということです。参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っていますが、補償問題や避難地域の線引きと、子どもの問題は直ちに分けて下さい。子どもを守るために全力をつくすことをぜひお願いします。
それからもう一つは、緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。緊急避難的除染をわれわれもかなりやっております。たとえば、滑り台の下など小さい子が手をつくところです
が、この滑り台に雨水がザーッと流れてきますと、放射性物質が毎回濃縮します。右側と左側にズレがあって、片側に集まっていますと平均線量1μのところだと10μ以上の
線量が出てきます。こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。
コケが生えているような雨どいの下、ここも実際に子どもが手をついたりしているところなのですがそういうところは、たとえば高圧洗浄機を持って行ってコケを払うと、2μシーベルトが0・5μシーベルトまでになります。しかし、0・5μシーベルト以下にするのは非常に難しいのです。
それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、1か所だけ洗っても全体の除染は非常に難しいのです。ですから、除染を本当にやるという時には、いったいどれくらいの問題があり、どれくらいのコストがかかるか。たとえば、イタイイタイ病の一例で挙げますと、カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなのですが、そのうち1500ヘクタールまでの除染のために国費が8000億円投入されています。もし、この1000倍ということになれば、いったいどれほどの国費の投入が必要になるのか、ということです。
私は4つのことを緊急に提案したいと思います。
第1に、国策として、食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭の機器を用いて、流れ作業にして検査するというように、抜本的に改善して下さい。これは今の日本の科学技術力で可能です。
2番目、緊急に子どもの被ばくを減少させるために新しい法律を制定して下さい。私が現在やっているのはすべて法律違反です。現在の放射線障害防止法では、各施設で扱える放射線の量や種類などは決められています。しかし、東大の27のいろんなセンターを動員して現在南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限など得ておりません。車で運搬するのも違反です。しかしながら、お母さんや先生方に高線量の物を渡してくるわけにもいきませんから、今の東大の除染ではすべてのものをドラム缶に詰めて東京に持って帰ってきております。その受け入れも含めてすべて法律違反です。
このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には最新鋭の機器を持っているところはたくさんあります。そういうところが、(現在の法律で)手足をしばられたままで、どうやって国民の総力をあげて子どもを守れるのでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
3番目、国策として土壌汚染を除染する技術を民間の力を結集してください。さまざまな化学メーカーや放射線除去メーカーなどさまざまなところは、放射線の除染などに対してノウハウを持っています。こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターを作ってください。実際に何10兆円という金額がかかるかもしれず、いまだと利権がらみの公共事業になりかねない危ぐを私は持っております。
国の財政事情を考えたらそんな余裕は一瞬もありません。どうやって除染を本当にやるか、7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に 国会は一体何をやっているのですか! 以上です。
(時間制限のためか、第4の提案にはふれていない)

シーベルトは、人間がある期間にあびた放射線の量をあらわす単位です。私たちがよく聞くのは「ミリシーベルト」(μCv)と「マイクロシーベルト」ですが、単位のミリはマイクロの千倍ですから、1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトにあたります。
ただ、シーベルトは、「これだけの放射線をある期間あびつづけたとしたら」という数字なので、それが1時間(/時)なのか、1年間(/年)なのか、などに注意することが必要です。報道などで「5マイクロシーベルト」というときは、ふつう1時間にあびた量のことをさします(「毎時」を略していうことが多い。μCv /h)。
人間が日常生活であびる自然放射線の量は、世界の平均でひとりあたり年間2・4ミリシーベルトといわれます。それを1時間あたりの量に換算すると、およそ0・3マイクロシーベルトになります。
その人が実際にどのくらいの線量をあびたかの「総量」は、放射線の強さ(時間によって変化する)、除染するまであびつづけた時間などを調べないとわかりません。
福島をはじめ、岩手、秋田、山形、宮城、栃木などで肥育された牛肉から国の基準を上回る放射性物質(セシウム)が検出されました。原発事故後に屋外で集められた稲わらを牛に与えていたことが原因とみられます。
放射能の強さや量をあらわす単位。シーベルトとの違いは、電球にたとえて、電球じたいの明るさがベクレル、その電球の光があたったものの明るさがシーベルトというふうに考えるとわかりやすいでしょう。
屋外に放置されていた餌を家畜に与えないように、という通達(3月19日)。しかし、「稲わら」を具体的に指摘していませんでした。もともとこの通達を知らなかった畜産関係者が多いのが実情です。
放射性の血管造影剤の商品名。アルファ線を出すトリウムを利用したもの。
被ばくには「外部被ばく」と「内部被ばく」があり、放射性物質が体の外にあるものを「外部被ばく」(レントゲン検査など)、放射性物質が体内に取り込まれた場合を「内部被ばく」といいます。